アポロ13号奇跡の生還 ヘンリー・クーパーJr 著
この作品は俳優トム・ハンクス主演で映画化されたのでご存知の方も多いと思われる。
作品の内容としては1970年4月13日に打ち上げられた月探査船アポロ13号が宇宙空間でほぼ生還不可能と言われるほどの致命
的事故から生還を果たしたドキュメンタリー。 1961年ソビエトのガガーリンが人類初めて大気圏を超え地球軌道周回を成し遂げた
その頃アメリカはロケット開発に完全に遅れていたが時の大統領J・Fケネディが十年以内に人類を月に立たせてみせると言って何と
それを実現してしまったのである。月着陸を果たしたアポロ11号はアメリカの技術力の高さの象徴であるが、致命的と言われる事故
を起こした13号を無事生還させた事はアメリカの危機管理能力及びマネージメント能力の高さ示すものである。当時日本ではこのア
ポロ13号の事故ニュースは報道されてはいたが、それほど詳しく発表されていなっかたはずである。もしアメリカと同様に日本にもロ
ケット開発能力が有ったとして、この国の管理下でこの事故が起こったなら、彼ら(アポロ13号のパイロット)を生還させる事が果たし
て出来たのだろうかとの思いにさせられる。アメリカと言う国の底力を再認識させられた一作であった。
2004年現在の日本では・・・・H2ロケットよ、あ・・・何処へ飛んで行くの・・・。By NASDA
石ノ森章太郎は皆さんよくご存知の漫画家ですが昨年(2004年)に亡くなられました。
代表作は何と言ってもサイボーグ009と仮面ライダーではないかと思います。
私が何故この作品をとりあげたかと言うと老子の説く『道(タオ)』思想は大変難解で且つ深遠な思想であるからこそ、文字だけでは理
解が難しい所を漫画と言う手法が補ってくれると思った訳です。しかし実際には余計に分からなくなりました。
老子・・・勿論皆さん高校の授業で内容はともかく名前ぐらい聞いた事あると思います。老子は今からおよそ2千5百年前の中国の偉
大な覚醒した思想家で『道(タオ)』を説いた人です、その思想はまさに仏教での『唯識学』であり『空』の思想に通じるものです。
ここで少し『道(タオ)』のさわりだけ見てみます。 『道(タオ)』の相対観から『我々の”知”の働きとはつねに相対的な基準を拠り所と
している、つまり決して絶対的な物ではない、我々の”知”とは”有無・長短・難易”などの相対の枠の中でだけで営まれ絶対に普遍の
真理を認識する事はできない』と。
つまり我々は善い事をしていると思っている事は、その本人か又は一般常識から見て悪い事と定義している事と比べてそう思っている
だけです。更に美しい物と思って見ていても、それは醜いと思われる物があってこそです。本来の姿は善も悪も・美も醜も無くその対象
さえも無く我々が勝手に作り出しているのかもしれません。この考えをもっと進めていくと我々のサイエンスと言われる物はまさにこの”
知”が基であり、全ての基準としている訳であるから、老子から見れば決してサイエンスだけでは真理を認識できないと言う事です。
今までとりあげてきた本に共通している事ですがこの本を取り上げた理由も、我々俗人にもまったく不可能と思える覚醒の必要な時が
来ていて、思ったよりその日が近いという事です。