この本はインドの数ある聖典の中でもユニークな存在と言われている。それは誰によって書かれたかも定かでは無い、しかし幾多の時
を経て読み継がれ、最もシンプルに 不二一元論の教えの真髄を表現した聖典だからである。
1章から20章まであり各節は散文的な文章構成となっている。
1.真我
1-5 『あなたにはどんな階級も無い どんな義務もあなたを束縛することは無い あなたは形を持たず、自由で感覚では捉えき
れない 全てのものごとの観照者だ だから幸せでありなさい!』
1-9 『あなたは一なるもの 純粋な気づきだ それを知りなさい この確信の炎で 無知の森林を焼き尽くしなさい
悲しみからなた自身を解き放ち幸せでありなさい!』
1-14 『わが子よ、自分は身体だと考える為にあなたは長い間束縛されてきた あなたは純粋な気づきだと知りなさい
この知識をあなたの剣として 鎖をたち切るのだ そして幸せでありなさい!』
2.気づき
2-19 『身体は無 世界は無だ これを完全に理解するとき どうしてそれらを想像から生み出しつづけることができよう?
なぜなら 、真我は 純粋な気づきにほかならないのだから』
2-20 『身体とその恐れ 天国と地獄 自由と束縛 すべてはただの作り話 気づきそのものである私に何の関わりがあると
いうのか?』
2-22 『私は身体ではなく 身体は私のものではない 私は分割されない気づきそのもの ただ生きることへの渇望にしばり
つけられていただけ』
3.智恵
3-5 『賢い人はすべてが彼自身の中にあり 彼自身がすべての中にあることを知っている それにもかかわらず、なんと奇
妙なことだろう彼はいまだにこういう---- 「これは私のもの」と』
3-9 『だか真に智恵ある人は いつも最高の真我を見る 褒められても、喜ばず、軽蔑されても、怒りもしない』
3-10 『澄み切った揺ぎ無い洞察で 彼はこの世界を幻と眺め もはや、惑わされることも無い どうして彼が死を恐れること
があろう?』
4.真の探求者
4-1 『智恵ある人は真我を知って 人生と言うゲームを楽しむ だが愚か者は重荷を背負うロバのようにこの世を生きる』
5.溶け去る
5-1.『あなたは 何者にも汚されることのないほど 純粋だ いったいなにを放棄するというのか? 身も心も全て明け渡し
てあなた自身を溶かし去りなさい』
8.心
8-1 『心は これを欲しがったり あれを嫌ったり これにしがみついたかと思えば あれをはねつけたりする 今、怒ったかと思
えばすぐ喜んだりする こうしてあなたは束縛されのだ』
9.無執着
9-6 『真の師は冷静に考え すべてはひとつだと見なす 彼はものごとの本質 覚醒の本質を理解したのだ 彼はふたたび生ま
れ変わることはない』
9-8 『世界はただの偽りの印象の集まりにすぎない あきらめなさい 幻を手放しなさい 世界を手放しなさい
そして自由に生きるのだ』
10.欲望
10-6.『幾生にもわたって 幾つもの異なった身体を通して さまざまな快楽にあなたは身を任せてきた 息子や国王や妻たち
結局はすべてを失うにもかかわらず....』
10-7.『快楽の追求はもうたくさん 富も美徳ももうたくさんだ 世界と言う暗い森の中で それらがいったいどんな心の平和を
あなたにもたらすというのか?』
11.静寂
11-5 『すべての悲しみは恐れからやってくる それ以外はありえない それに気づけば あなたは自由だ そして欲望は溶け去
るあなたは幸せに そして静かになる』
11-6 『私は身体ではない 身体は私ではない 私は気づきそのもの それに気づけば 成し遂げたことや成し遂げられなかった
ことといった思い消え去る あなたは一なるもの 完全で分割不可能なものになる』
12。成就
12-1 『はじめに行為を放棄し それから無駄な言葉を そして最後には思考そのものを棄て去り 今、私はここに在る 』
13.幸福
13-6. 『努力しようと休もうと 得るものも失うものもない 私は勝ち取る喜びや 失う悲しみを手放した そして私は幸せだ 』
15.澄み切った気づきの空間
15-8.『信じなさい、わが子よ、信頼するがいい 迷ってはならない なぜなら、あなたはすべてを超えた 全知のハート あなた
は真我あなたは神なのだ』
15-9.『身体はその本来の性質に縛られている それは現れ しばらくの間、生きながらえ 消え去る だが真我は来ることも去
ることもない ならばなぜ身体について嘆くのか?』
15-16.『世界は無知から生まれる ただあなただけが実在なのだ あなたから分離した人など誰もいない 神でさえも』
15-17.『あなたは純粋な気づき 世界はただの幻にすぎない これを悟れば欲望は消え去る あなたは平和を見出したのだ
なぜなら、本当に何も存在しないのだから』
16.すべてを忘れなさい
16-1. 『わが子よ、あなたは好きなだけ聖典をよみあさり 討論することに忙しいかもしれない だがあなたがすべてを忘れるま
ではけっしてハートで生きることはないだろう』
16-10. 『もしあなたが自由を望みながら まだ「私のもの」といい続け 自分を身体だと感じつづけるなら あなたは賢者でも探求
者でもないあなたはただの苦しむ人間だ』
18.師
18-1 『あなたの真我を愛しなさい その本性は幸福 平和、そして輝き 本来の自己に目覚めなさい そうすればすべての無明
は夢のように消え去る』
18-98 『彼は無欲で 真我の内に幸せに安らぐ 悲しみは終わりを告げた 彼が何を感じているか誰が知ろう?』
19.自己の輝き
19-7.『心を溶かし去ること あるいは最高の瞑想 世界やそのあらゆる業 生や死 それが何だというのだろう? 私は自己の
輝きの内にとどまる』
20.私はシバ
20-11 『私は永遠に純粋だ 幻影 あるいは世界とは何か? 小さな魂(アートマン)あるいは神(ブラフマン)とは何か? 』
20-12 『二のない、一なるもの 私は常に変わらない ハートの内に私はとどまる』
以上が抜粋の言葉である。 勿論、紹介しなかった部分も同じく宝石のように輝いている。
この聖典から語りかけてくるものは、準備の出来ている人には大いなる真理として響いてくる物と思われる。
ここに語られている真理に到達するには一体どうしたら良いのか? 私はここで一つの道として鍵となるのがコース・イン・ミラクルの
中での 『赦し』 である思う。コースでは赦しを通して我々に具体的に実践体験させようとしているのである。
それは我々には到達し得ないと思われている聖人・聖者の話では無く今、正に幻想の中でもがき苦しんでいる我々に差し伸べられた
一つの救いなのかも知れない。