図 書 室43
心を耕す家族の行く手                                 木の花ファミリー  著
 
今年あるきっかけからこの本に書かれているコミュニティーに訪問する機会が訪れた。  場所は静岡県の富士の裾野でとても水が豊

富で綺麗な所である。
 
当初ここに行く事になった時、自分としてはこようなコミュニティーに興味は殆ど無く、ましてやほぼ100%近い自給自足のコミュニティ

ーと聞いただけで何か胡散臭い集団ではないかと勝手に想像していた。  しかし良い意味で想像を大きく裏切られる事となる。
 
約束の駅で待ち合わの時間に1BOXの軽自動車が迎えに来てくれた。明らかに農作業用に使用しいる物で車内は泥だらけである。
 
若いアンちゃん(後に判るのだが志がとても高い人物のヨシドン(小柴義明 氏)である)が迎えに来てくれた。 駅から車で移動中にヨ

シドンから仕事はなになさっているのですかとの質問が来たのでプータローしてますと答えると暫く会話が途絶えた・・・。そうこうしてい

る内に連れていかれた所は何の変哲も無い一般農村集落の中ほどであった。
 
世間と隔絶した山奥であろうと自分なりに勝手にイメージを作り上げていたがそうでは無かったために肩透かしを食らった気分である。
 
着いて間もなく昼時間であったので昼食を頂く事になる。
 
ここでの生活は、ベジタリアンにも関わらず出てきた昼食の豊かさに(勿論、肉無し魚無し)まず驚かされ、その食生品目の98%を自

給でまかなっているとの事で更に驚くことになる。 この昼食時にファミリーの全員が集まったらしく小さな子供から老人果ては外人まで

含めての食事となった。そこに何やら、とぼけた感じの変なオヤジが子供たちと楽しそうに会話をしている、一体何者か?と思いきやこ

の人物がリーダーであるイサドン(古田偉佐美 氏)であった。
 
後に判った事であるが、このとぼけた親父であるイサドンの人格の高さと精神性の高さはスピリチュアルを多少なりとも学び歩んで来

たと自負し色々な人物を見て、目を養ってきたつもりの自分であったが、それをしても驚かざる得ない人物であった。
 
そこには何の気負いも驕りも無く、自然農法を中心に筋の通った人生哲学とスピリチュアリティーそして人間としての思いやりと優しさ

をを兼ね備えた人であり、彼のプレゼンを通じてこのグループの立ち上げ経緯、コミニュティー形態の説明や方向性など又地域との連

携・食を通しての教育など多くの学びを得ることが出来た。
 
彼は更に精神(心の)ケアーに関する活動も行っており鬱病患者等も受け入れ多くの人々が癒され社会復帰しているとの事である。
 
実際に家畜の飼育や作物の生育などの現場を見て感じたことであるが一般常識の農法との違いが鮮明であり、結果的に如何に我々

が間違った食物を口にしているのかを知る事となり恐ろしく感じる程である。
 
イサドンと話す機会があった。 私はコミュニティーや組織と言うものが嫌いであると伝えた。何故なら組織発足の志はいくら高くとも、

やはり組織は自己を守るため又リーダーと言われる人物は何時かはエゴに飲まれてしまうと。彼は静かにこう答えた、此処での生活

は私が中心では無い、コミュニテーを立ち上げたのは私であるが現実は一人一人が独立しており、個々人が事業主となり自分たちで

作った作物等の収益金等は全て共同体のメンバーの各個人口座に均等に分配される。
 
更に此処での生活は全て話し合いで行われその話し合いには、たとえこの共同体に所属していない部外者でもこのミーティングには

参加することが出来る。 そしてあくまでも此処は農業と言う自然との接点を通し個々人が心を豊かに生きるのが目的である。 そし

てそれには隔絶した組織であっては無理で、地域の人々とのコミュニケーション無しには成り立たないし参加する自由も又離れる自

由も保障されていなければ意味を成さないと。
 
私はこの組織として成り立つ背景として一体何が基本として必要なのかを考える事となった。そこで導かれた答えが『人を信じる事』で

ある、すなわち一般社会の会社組織とは発想が逆なのである。一般的な会社では社員は基本的に仕事をさせるもの、つまりは黙って

いると基本的にサボるものと見なす。しかし此処では個々人それぞれが自分の出来る役割に沿って自主的に働くと言うことである。 

人は基本的に信用されるとその様に行動するものなのでありこれが本来の姿である。そこには公平でその人々の希望と能力を見定め

優しく気長に見守る勇気が必要である。  私利私欲にまみれた社会構造の意識では到底望み得ないものである。
 
このコミニュティーはある意味で将来の地球レベルでの、あるべき姿又は目指すべき姿の一つのモデルであると言っても言い過ぎでは

無いと思う。
 
このコミニュティーに訪問したいと感じ、もし実際に行かれたのなら恐らく新たなる生き方に目を向ける機会になるかもしれない。
 
ホームページ  http://www.konohana-family.org/