ターミナルケアで有名な医学博士で精神科医、昨年(2004年)8月に残念ながら亡くなられましたが彼女が残した業績は計り
知れないものがあります。彼女のすごさは自伝を読めば良く分かりますが私が特にすごいと思った事は、医師として1000例
以上の臨終の場に立ち会い科学者の目で冷
静に分析した結果、死は終わりを意味してはいないとの結論に至ったことです。この本には前記の事に関しては書かれていま
せんが、実際の死に際の人々の心の変容を医師として見つめた一作。
夜と霧 V・Eフランクル 著
第二次世界対戦時ナチスの強制収容所に収容されていた心理学者の話で、極限状態での人間の心理、絶望の中にも宿る小
さな喜び。戦争はここまで人間を残酷にするものなのかとの考えさせられる書。森村誠一が書いた『悪魔の飽食』は別の意味
での人間に対しての恐怖心があるがこの作品は人間性を深く見つめた作品で感動すら感じる。
しかし、21世紀になった今でも世界では戦争が繰り返されている、欲まみれと間違った宗教観にとりつかれた愚かな人類、私
もその一員と自覚した上で、こまったものである。