図 書 室4
鏡の伝説                   J・ブリッグス/F・D・ピート 著  
                     
この本はカオス/フラクタル理論をつかって自然現象を解明出来うる理論ツールであるとの解説本である。一見難しい感じがする

が素人にもわかりやすく書かれている。ちなみにカオスとは混沌と言う意味でフラクタルとは相似系とも言われる。実はこの考え方

は極微の世界から宇宙まで当てはまるものである。もっと分かりやすい例で言えば気象現象で雲の動きが最初は無秩序であった

ものが何かの力(太陽熱による大気対流・地球の自転など)よって台風に発達していく、そして極大化したエネルギーがまた拡散

状態に戻って行くなど、又は生物学の解明にも一役買っている。 混沌から秩序へそして混沌えと、まさに仏教でいう無常の世界

ですな。
 
 
究極の旅                   ロバート・A・モンロー 著  
 
ずばり言ってSF小説なんかぶっ飛びの本、著者の体外離脱体験を記した本で内容は驚くべき事が書かれている。脳を研究して

いる科学者は恐らく単なる幻覚と一笑にするところだろう。特に理化学研究所の脳科学研究センターの研究者に感想を聞いて見

たいものである。
 
ある特殊な音を人間に聞かせる事により変性意識領域に入っていく事を発見した著者は一般の人々でも案外簡単に体外離脱が

可能になると言う。
 
ヘミシンクと言われるその音響技術は実際の脳波測定でもアルファー波とベータ-波のコントロールが可能な事が証明されている

この本を単なるファンタジーと取るかは読者の判断によるが私はそうは思っていない。現在のサイエンスと言われる事では解明出

来ないことだらけ、少なくとも私も大学の研究者との付き合いが多い職種なので、優秀な科学者ほど生命のメカニズムの驚異に

対し謙虚さを示している。
 
 
テイクダウン 上・下            下村 努・ジョンマコーフ 著  
 
天才日本人数学者とコンピュータハッカーの息詰まる戦いの話、勿論ノンフィクションで日本ではさほど取り上げられなかったがアメ

リカで結構問題となった事件。ネットワーク社会での裏事情がわかる。FBIと共同で犯人を追求していくプロセスはまさに推理小説

ばりで一気に読んでしまう。しかし書かれていることが事実なら如何にセキュリティー強化しようとも抜け道はあるもので恐ろしい限

りである。 明日あなたの住民台帳情報が消えていたら?はたまた銀行預金残高0円なんて・・・。この本に類似した内容で『カッコ

ウはコンピュターに卵を産む』上・下も大変おもしろい。
 
 
ホームレス入門                風樹 茂 著  
 
読んで字のごとく、リストラされた著者が3歳の息子と訪れた、上野公園で見たホームレスの暮らしをレポートしたもの。この作者

が実際にホームレスになる覚悟で書いた本だけに説得力が違った、更に年齢も私と同じ、しかも北海道生まれと来たもんで他人

事とは思えず、よりリアルに感じた。興味をそそられたのはホームレス社会にも一定のルールがある事、そこで織成される人間模

様が生々しい。この著者が海外援助の仕事に従事していた事もあっての言葉と思われるが;『日本は海外援助金と称して何百億

円との金を使うのに、日本国内の難民と言えるホームレス対策には殆ど無いに等しい』と書かれていた。
 
私も実際上野公園に行って見てきた、勿論著者のようにホームレスには話かけれなかった、また仕事の関係で高田馬場駅から早

稲田大学の理工学部に行く途中でも大勢ホームレスを目にした。これが国民総生産世界第2位の日本の現状である、では1位ア

メリカはどうよと言われるとここは別の意味で貧富の差が大きい為ホームレスももっと多い。私は基本的に人が生きる為の最低限

の保証ぐらい出来ないのか、それに一体どれだけの金が掛かるのかとの思いにさせられる。人によっては本人の努力が足りない

からホームレスになると言う理論もあろうが、勿論否定はしないまでも その言葉がくせものである。いつかその事について論じた

い。