図 書 室31
鏡の法則                                                                        野口 嘉則 著
 
 
最近ベストセラーになった本で現在も結構売れていると思われる。この本は90ぺージ足らずの小さなエッセイであるがとてもシンプル

で心に染み入るのである。
 
日常生活の中で深くしまい込まれている人間の心を見事に表現しており、それは誰にでも当てはまるがゆえに読者を感動させずには

於かない圧倒的な力がある。
 
人は年齢を重ねると共に自己を傷つける物から身を守るために心に硬い鎧をまとう、一見頑強とも思える人間であっても心の奥底に

は孤独に震えるインナーチャイルドが存在する。むしろ粗暴に見える者ほど自己では気づいていない場合が多いが心の奥底は打ち

震えているのである。
 
それは恐怖心であり見えざる敵から自己(エゴ)を守る為の鎧と言う形で存在し、本来自己を守るはずのその鎧が時として他の人を傷

つけ、そして自己をも傷つけてしまう。
 
全ての人がそうであると言わないが、しかしこの人間関係の集大成が今の我々の社会の姿であり世界なのである。
 
勿論個々人それぞれであるが人によっては死ぬまでそれを身に着けて行ってしまう、更には死んだ後にも引きずってしまう事がある。

(なんであんたに死んだ後の事まで分かるのと言われそうであるが・・・どうやら事実の様である。)
 
我々は人生を複雑にしすぎている、悲しみや苦しみは何処から来るのか?そしてその悲しみや苦しみを無視せず見つめその原因を

探って行くと、そこには他でもない自己の心の在りようが全てであると、ある日気付く。 『人生は実は大変シンプルなのだと』       
 
多少話はそれるが私の人生教訓の一つに『量から質への転換』と言う言葉がある、やはり幾多の人生を経験してこなければ人生の質

を上げる事は出来ない。 ただ人によって早い遅いの違いはあるがいづれ全ての人が到達するはずである。
 
余談であるが、早い人の特徴を一つ上げるなら『打算のない思いやりのある心』すなわち人間関係に於ける広い想像力の豊かな人ほ

近道を歩む事となる。
 
 
 
 
スピリチュアルウォーカー                                           ハンク・ウエルスマン 著
 
5000年後に生きる人間と12回に渡り交信を行った記録である、果たしてSFか?。 
 
この本の著者はハワイ大学とカルフォルニア大学で人類学を教えている、彼はれっきとした科学者でありチャネリングとか霊界とかに

関しては壁易していた人間であり頭からその様な現象は信じていなかった。しかしある時、突然に強烈なエクスタシー感を伴なって体

外離脱が起こり他の人間の意識と複合してしまうという経験する。
 
そして冒頭で解説した通り、それは5千年後の人間であり個人的に意識の合体が起こりその場の経験を共に重ねて行くという、信じが

たい記録である。
 
ここまでの話では完全に荒唐無稽なSFと言われても致し方ない、しかしこの本を読み進めて行くと一概にフィクションと片付けられ無く

なってしまうのである。
 
この本での注目点は、我々は時間という概念に対し線形的にしか認知できない、しかし事実は非線形的なものであり過去も未来も同

時に存在しており変性意識レベルおいては時間の壁を越える事が簡単に出来てしまうと言われている、それは決して夢などでは無く

これが真実なのかもしれないと言う事。
 
もしこの事が証明(物理学では理論的に解明されつつある)されたなら肉体的な死は意味をなさなくなり 我々は、過去にも未来にも同

時に存在すると言う事を意識せざる得なくなる。その結果、無責任な生き方を改めなければならない事となる。
 
これに付いて多少難解な言い回しとなるが、『今という瞬間は永遠の今であるという事、永遠の今の意識を変える事は全てを変える』

という意味でもある。
 
この物語に出てくる未来像は一つのバージョンであり幾多の未来のひとつの姿であり、そしてそれは現在の様なの人工物であふれた

文明の延長では無く、原始的な生活環境となっている。 
 
問題は今の人類は未来に対する多くの選択肢を失うという状態で突き進んでいると言わざる得ない、破滅を招く結果となるか又は回

避かは今がまさにカオスポイントなのである。
 
この物語?は現在から50~100年後、地球の温暖化が進み引返すことの出来ない臨界量に達し、北極の氷はすべて溶け南極も大

地がむき出しの状態となり海面が90m以上も高くなりついに文明が崩壊し人口が激減、その後5千年と言う時の流れの後の世界を

垣間見ているのである。