この本は10年ぐらい前に書かれたもので最近新装版として復活した本である、残念ながらこの著者は若くして亡くなっている。
『ホログラフィック・ユニバース』とのサブタイトルが付いているこの本も今までに紹介してきた本と同系列と言える理論物理学から生命
科学トランスパーソナルまでをも網羅した力作で、英国のブリストル大学の研究員であったデビット・ボームと言う天才量子物理学者が
提唱しているホログラフィック理論をベースにエール大学の脳神経生理学者のカール・プリブラムが構築した脳のホログラフィック機能
などから話が展開されて行く。
最初にプリブラムとボームの考えを要約すると『我々の脳は、つきつめてしまえば他の次元---時間と空間を超えた深いレベルに存在
する秩序---から投影される波動を解釈し、客観的現実なるものを数学的に構築しているのである。すなわち脳はホログラフィクな宇
宙に包まれた一つのホログラムである』。更にボームは『時間と空間さえ、それを構築しているのは私たちだ』と言っているのである。
なんという考えであろうか・・・・!
ここでホログラムとは何かについて少々解説する・・・光学を多少ご存知の方なら理解しやすいと思うがレーザー光(位相の揃った光)
を使ってハーフミラーにてその光を2光路に分け1方を目的の物体に当て物体を回転させスキャンする、その散乱光をフイルム面で受
けもう一方のレーザー光を同じ光路長をとり直接フイルム面に当てると干渉縞のパタンーがフイルム面上に出来る。(数学的にはフー
リエ変換に近い?)この原理で今度はフイルム面に記録された干渉パターンに逆にレザー光を当てると今度はあたかもその空間に先
に記録した物体が3D情報として存在するかの様に浮かび上がってくる、この事をホログラムと言う。ここで驚きなのはこの出来上がっ
た干渉縞のフイルムを細かく分割してレーザーを当てても同じ様に物体が浮かび上がるのである。この本を読み解くカギで最も重要な
点は『部分であるはずの物にも全体の情報が含まれている』この概念を発展させこの宇宙しいては人間の意識までをも含めた世界
を展開したのがこの本である。 感の良い貴方なら以上の解説だけでこの本の趣旨をご理解頂けると思う。
この本を読み進めて行くと益々我々が幻想の世界に住んでいるとの認識を持ってしまう、あたりまえとして生活してるこの世界を我々
は確固たる物と信じているが、実は限定された思考(集合意識)で作られた幻想の世界であり、我々一人一人の本質は深遠で森羅万
象全てと繋がっており部分であり全てであるという存在なのである。
この世界は我々自身で作り上げたもので、いわば遊び場と言った所であり、さしずめ人類は何もかも忘れて夢中に遊んでいる幼稚園
児か、小学低学年と言った所であろうか?。何故私がこの様な本を紹介し続けるかは何度も言う様に我々はあまりに知らなすぎであ
る。 と言うより全ての人は本来自己の奥深い所で知っていた事を忘れてしまっていると言うのが真実に近いと思う。
この本に対し恐らく自称科学者と称している方からすると荒唐無稽な又は説明不能ジャンルと片付けられる領域も含まれるが、私
は簡単にそれでおしまいと言えないと思うのである。
ここでこの本と多少離れるが貴方に一度是非確かめて見て頂きたい事ある、貴方にとって確かと思える事、物でも、人でも、環境でも
これだけは私にとって絶対変わらないものと言える事を上げてもらいたい。一つでもあるだろうか、恐らく見つからないと思うが如何で
あろうか?
あえて説明の必要も無いと思うが、全ては移ろう物であり人の心は勿論の事、社会環境や人間関係や家族(悪い事だけでなくハッピ
ーな事も含む)がひょっとすると明日天変地異で家が都市が崩壊するかも知れない何処からかミサイルが飛んでくるかも知れない、又
は明日会社を解雇になるかも知れないし事故や病気で急に亡くなるかもしれません。(これとて人間の思考が作り出す物であるのだ
が・・・)
せめて死ぬまでには我々は今の価値観が正しいかどうかを確かめ、その上で残された人生を自由にエンジョイしたいものである